学校法人藤田学園(愛知県豊明市)の100%子会社である株式会社フジタ・イノベーション・キャピタルと、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社(東京都中央区) の100%子会社である東海東京インベストメント株式会社は、このたび共同で医療・バイオ・ヘルスケアの分野におけるスタートアップへの投資および支援を目的としたベンチャーキャピタルファンド「フジタTTインパクト1号投資事業有限責任組合」を設立する運びとなりました。
愛知県を地盤とする両者が手を組んで日本国内の大都市圏では起業率が低い中部地区にベンチャーマインドを醸成し、スタートアップ育成をけん引することで、医療産業の創生と地域経済の活性化をめざします。
ファンド概要
名 称:フジタTTインパクト1号投資事業有限責任組合
出資形態:無限責任組合員(GP) 株式会社フジタ・イノベーション・キャピタル東海東京インベストメント株式会社
有限責任組合員(LP) 国内の適格機関投資家(地域金融機関)、事業法人など
ファンド規模:20億円~40億円(最大40億円)
投資期間:2032年12月31日まで(延長は最大3年)
“日本初”の医療研究実証型 産官学金連携ファンド
フジタTTインパクト1号投資事業有限責任組合は、藤田医科大学が有する知的財産の社会実装化を目的とした”日本初”の医療研究実証型・産官学金連携ファンドです。藤田医科大学発スタートアップ企業および藤田医科大学・藤田医科大学病院と共同研究を行うベンチャー企業を対象に、地域医療・遠隔診療、再生医療・創薬・検査薬・医療機器、リハビリ・介護など、バイオサイエンスを含むヘルスケア全般への投資を展望します。共同研究による連携は、現在、地元企業を中心に約10社と進めており、今後はさらに拡大する予定です。また、本学発ベンチャーにおいても、来年以降、数社が立ち上がる計画となっています。
設立の背景
国内最大の病床数を誇る大学病院と、精神・神経病態、がんゲノム医療、再生医療、感染症、医科学など5つの研究センターを含む計17の開発センターをキャンパス内に有する藤田医科大学は、これまで医療の進歩につながるさまざまなシーズを発信してきました。今年8月にはそれらをさらに加速すべく、愛知学院大学・岐阜薬科大学・摂南大学・名城大学と「先端医療開発コンソーシアム」を結成し、薬学系・工学系学部との共同研究開発にも着手。新たな先端医療技術のイノベーション創出に取り組んでいます。
その一方でアカデミアの研究は学術的な意義に重点が置かれているため、資金面や再現性の担保などさまざまな課題があり、優れた研究成果が社会実装につながらないことがあるのも事実です。本ファンドを通じて、スタートアップを資金面から支援することで、それらの課題を解決し、地域に根差した次世代ヘルスケアの実現をめざします。
国家的プロジェクトに参画
藤田医科大学は、地域包括ケアおよびヘルスケアの新たな取り組みとして、先制医療・行動変容の促進を目的とした「スマートヘルスケアタウン」構想を進めています。これらは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の2021年度「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)(育成型)〈地域共創分野〉」に「人とITが共生する健康街づくり」拠点として採択され、高齢化社会の課題解決に向けた産官学民一体の取り組みとして注目されています。
COI-NEXTの本プログラムでは、ドラッグストアを健康サービス・モニター拠点と位置付け、収集した健康診断・食習慣・健康モニター・薬歴等の健康データをアプリ等で管理、利活用できるヘルスケアデータプラットホームを構築。データを基盤に、個人の健康状態に合わせた食や活動の提案、リスク予測モデル構築、健康アラートの可視化などを行うことで、疾患の早期発見と早期治療につなげるものです。これら先制医療分野の発展においても、ファンドの支援によってさらなる加速が期待できると考えます。